若手・女性社員×ミドル層社員
×社外監査役 座談会 第1部

イキイキと安心して
成長できる働き方」を考える

特集1

人的資本経営と若手・女性社員の活躍をさらに推進するには

りんかい日産建設は社員を、企業においてさまざまな価値を創出する「資本」として捉え、一人ひとりの成長が企業の未来をつくるという考えのもと、教育・研修の推進や、働き方改革やワークライフバランス/ワークインライフの実現に、積極的に取り組んでいます。
一方、当社の社員は40~50代以上の男性が多いという現状があり、だからこそ若手・女性社員の採用と活躍をより一層推進する必要があります。
そこで今回は、本社ビルにある社員の交流・打ち合わせスペース「コミュニティベース(Community Base)」にて、若手・女性社員6名、その上司・先輩にあたる50代ミドル層社員、そして社外監査役に、「イキイキと安心して成長できる働き方」について話し合っていただきました。モデレーターは昨年の「長期ビジョン策定記念座談会」に引き続き、サステナビリティ経営支援・啓発の専門家である岸和幸先生にお願いしました。

キシエンジニアリング株式会社 代表取締役 兼 東京都市大学・「ひらめき・こと・もの・ひと」づくりプログラム 特任教授 岸 和幸の写真

モデレーター
キシエンジニアリング 株式会社
代表取締役
東京都市大学・「ひらめきづくり」プログラム
特任教授

岸 和幸

社外監査役

新井 玲代

社外監査役 新井 玲代の写真

[はじめに]座談会の目的と、対話への期待

座談会の冒頭では、モデレーターの岸先生と新井社外監査役が、今回のテーマや対話の意義について語りました。

─ 岸 : 本日はお集まりいただきありがとうございます。この座談会は、テーマに対して単に課題を洗い出す場ではなく、「どうすれば皆さんがもっとイキイキと働けるか」「会社がどう変わっていけるか」を一緒に考える場です。国内では多くの企業が、“人的資本経営”という言葉を重要視するようになっていますが、その実現には、ステークホルダー、とりわけ会社で働く皆さん自身の声を聞くことが大切だと考えています。今日の対談では、参加者の方々から率直な思いが語られることを期待したいですね。
─ 新井 : 社外監査役として私も参加させていただきますが、普段の業務ではなかなか言葉にしきれないことも、こうした場でこそ出てくるのではないでしょうか。世代や立場の違いがあるからこそ見える視点があるはずです。今日の対話が、組織にとっての“気づき”や“きっかけ”になることを期待しています。
─ 岸 : 今回は「若手・女性社員の活躍」を切り口としていますが、「誰もがイキイキと働ける組織とは何か」を考える時間にもできればと思います。皆さんのリアルな声が、この会社の未来を創る材料になります。それでは、座談会をはじめましょう。

建築本部 生産計画設計部長(建築技術職) E. H. の写真

建築本部
生産計画設計部長
(建築技術職)

E. H.

土木本部
DX推進部長
(土木技術職)

Y. H.

土木本部 DX推進部長(土木技術職) Y. H. の写真

[第1部]課題の発見
―― As is (現状の姿)/ To be(未来に向けて)

「現在の仕事を通じて、どんなことを感じ、どんな未来を思い描いているか」──まずは、若手・女性社員が一人ずつ、自分の課題や会社への要望などを率直に語り、その声にミドル層社員が応答するかたちで、課題の輪郭を探りました。現場での実感や迷い、そして前向きな意欲に触れる中で、組織全体が目指すべき方向性が浮かび上がってきました。

事業統括本部
環境・再生エネルギー部
(事務職)

K. Y.

事業統括本部 環境・再生エネルギー部(事務職) K. Y.  の写真

K. Y. (キャリア入社2年目)

─ 岸 : では最初に、K. Y. さんお願いします。
─ K. Y. : 私はキャリア入社で今年2年目です。建設業界は初めてで、日々の業務の中で専門用語や技術的な内容に戸惑うこともあります。でも、だからこそ「もっと知りたい」「現場とのつながりを持ちたい」と感じるようになりました。
─ Y. H. : 業界外の視点は、私たちにとっても大きなヒントになります。新しい風が入ることで、組織は柔軟になります。
─ K. Y. : それから、施工管理技士の資格にも挑戦したいと考えています。一般職でも知識を深めれば、できることが増えるのではと期待しています。
─ E. H. : 最近は、一般職・総合職にかかわらず、希望に応じた働き方ができるようになってきています。資格取得、応援しますよ!
─ 岸 : 未経験だからこその視点が“気づき”を生みます。学ぶ姿勢は周囲にも良い刺激になりますね。

建築本部
生産計画設計部
(建築技術職)

C. H.

建築本部 生産計画設計部(建築技術職)C. H. の写真

C. H. (キャリア入社3年目)

─ C. H. : 私もキャリア入社で、3年目になりました。建築部門で現場支援業務を担当しています。今後は現場の流れも理解しながら、業務の幅を広げていきたいです。一方で、働き方については、制度は整ってきたものの、実際の運用では難しさを感じる場面もあります。
─ E. H. : 制度をつくるのと、それを運用して定着させるのとは、まったく別の難しさがあると思います。気づいたことを伝えてもらえるのは、制度を育てるうえで大きな意味があります。
─ C. H. : それから、子育てや介護など状況に応じた柔軟な選択肢があると、より働きやすくなると感じています。
─ Y. H. : 働き方の選択肢を増やしていくのは、会社としての大きなテーマです。現場の声を参考にしながら、より良くしていきたいですね。
─ 岸 : 声を上げること自体が、働き方を変える第一歩。そうした動きが、組織の柔軟さを生んでいくのだと思います。

東京支店 建築部 尼崎作業所(建築技術職・JV出向中) T. K. の写真

東京支店 建築部
尼崎作業所
(建築技術職・JV出向中)

T. K.

T. K. (新卒入社4年目)

─ T. K. : 現場に配属されて3年目になりますが、正直まだ、自分に求められている役割を十分に果たせていないと感じています。技術や段取りの知識も足りず、協力会社の方々に頼ることばかりで、力不足を実感する日々です。それでも、図面と現場の違いや、現場で交わされる会話の意味が少しずつわかってきて、経験の大切さを実感しています。
─ E. H. : 現場を知っていることは技術者としての大きな強み。今の積み重ねが将来に活きてきますよ。
─ T. K. : ありがとうございます。いつか、協力会社の方々から「あなたと一緒に仕事がしたい」と思っていただける存在になりたいです。
─ Y. H. : その思いがあるなら大丈夫。一つひとつの経験が、必ず自信と信頼につながっていきます。
─ 岸 : 自分の力を客観的に見つめられる人は、必ず伸びます。信頼は、そうした日々の姿勢から生まれるものだと思います。

土木本部 DX推進部(土木技術職) M. O.  の写真

土木本部
DX推進部
(土木技術職)

M. O.

M. O. (新卒入社7年目)

─ M. O. : 現在、DX推進部で、業務のデジタル化や社内システムの整備などに取り組んでいます。部署が立ち上がってまだ日が浅く、仕組みを一から作っていく仕事なので、大変です(笑)。でも、それ以上にやりがいを感じています。
─ Y. H. : DXは技術だけでなく、働き方を変える力を持っています。現場の声を反映しながら、無理なく使える仕組みを一緒につくっていきましょう。
─ M. O. : そうですね! でも一方で、後輩社員のサポートに時間をなるべく取りたいので、ほかの業務との両立に悩む場面もあります。忙しい時ほど、しっかり教えたいのに教えられない…。だからこそ、DXの力で業務の効率化や情報の共有が進めば、もっと“教えやすい環境”をつくれるのではないかと感じています。
─ E. H. : 教えること自体も成長の一つ。後輩に伝える中で、自分の理解が深まることもありますよ。頑張って!
─ 岸 : 「仕組みづくり」と「人づくり」が重なる領域にいることは、大きなチャンスです。これからの学びや育成のあり方を考えるうえでも、大きなヒントになると思います。

東京支店
プロジェクト推進部
(土木技術職)

S. A.

東京支店プロジェクト推進部(土木技術職)S. A.  の写真

S. A. (キャリア入社7年目・育休経験者)

─ S. A. : 私はプロジェクト推進部で、入札時の工事にかかるコストを見積もる積算業務を主に担当しつつ、施工計画の作成などにも携わっています。精度が求められる難しい仕事ですが、やりがいを感じています。ただ、部署全体として業務が多く、人手も限られる中で、育児との両立には常に時間的な制約があります。業務時間内で、いかに仕事の精度を高めるかが大きな課題です。
─ Y. H. : 積算や施工計画は、現場を支える中核業務であり、プロジェクト推進部は社内でも特に重要な役割を担っています。業務が集中しやすい実情もふまえ、今、部門の効率化に向けた改革を進めているところです。
─ S. A. : もっと柔軟に働ける制度や仕組みがあれば、仕事にもより前向きに取り組めると思います。
─ E. H. : そうですね。業務の見直しと並行して、制度や仕組みの面から支えていくことも大切です。特に子育て中の社員には、安心して働き続けられる環境を整えることが欠かせません。
─ 岸 : 現場の声が、会社の仕組みを見直すきっかけになりますね。

建築本部 設計部
(建築技術職)

D. O.

建築本部 設計部(建築技術職)D. O.の写真

D. O. (新卒入社12年目)

─ D. O. : 最初の数年は、「自分の担った仕事が本当に役に立てているのだろうか」と悩んだ時期がありました。その時、周りに気軽に相談できる雰囲気があったら、もっと前向きになれていたかもしれないと思います。だから今は、後輩が同じように一人で悩まないよう、自分から声をかけるようにしています。教え方だけでなく、「話しかけやすさ」や「相談しやすさ」もすごく大事で、そういう空気があるかどうかで、会社の雰囲気そのものが変わる気がしています。
─ E. H. : その通りですね。若手が安心して声を出せる雰囲気があることが、組織の活力にもつながります。
─ Y. H. : 私も同感です。チームとしてお互いを思いやれる関係性を築くことが、良い現場づくり、ひいては会社全体の風土づくりにもつながっていくと思います。
─ 岸 : 「言いやすさ」や「安心して相談できる空気」を意識する姿勢が、企業文化や社風を育てるのではないでしょうか。そのためには、一人ひとりの心がけが重要なのかもしれませんね。

第1部まとめ:新井社外監査役

─ 岸 : ここまでの対話を通じて、現場で感じているリアルな課題や、それでも前に進もうとする意志が、皆さんの言葉からしっかりと伝わってきました。新井社外監査役は、ここまでのお話をどのように受けとめられましたか?
─ 新井 : 皆さんの声から、それぞれの現場で前向きに仕事に取り組んでいる姿勢がわかり、とても頼もしく思いました。仕事の難しさや葛藤もあったと思いますが、それを自分の言葉で語れること自体が、既に力だと感じます。私自身は、制度が今ほど整っていない時代にキャリアをスタートしました。だからこそ、「制度がないからできない」と考えるのではなく、「やりたいことがあるから制度をつくっていく」という意識が大切だと、ずっと思いながら働いてきました。制度は“用意されるもの”ではなく、“働く人が形にしていくもの”でもあるのです。そしてここまでの対話の中には、「もっと学びたい」「仲間とつながりたい」「自分らしく働きたい」といった気持ちが、自然な言葉で表れていました。それはまさに、この会社がこれから大切にしていくべき価値観の芽だと思います。自分の軸を持って、周囲とも対話しながら働いていく——そんな皆さんの姿勢が、組織の文化そのものを育てていくと、私は信じています。

第1部まとめ 新井社外監査役の写真


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