特集
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RN THE FUTURE PROJECT
長期ビジョン策定記念座談会
第2部:長期ビジョン実現に必要なもの
各リーダー・サブリーダーが、プロジェクト参加の際に思ったこと、そして長期ビジョン実現にあたって必要なものや乗り越えるべきハードルについて話しました。
分科会 1任せる勇気・見守る勇気と、変化への対応力
[分科会1]
池浦 弘一
─ 岸 : このプロジェクト参加のお話が来た当初、率直にどう思われましたか。
─ 池浦 : 私は...昨年10月のことで、インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の準備などで多忙だったため「勘弁してくれ!」が本音です(笑)。しかし、こんなに重要なプロジェクトに参加するのをためらってしまう自分の状況が問題だとも思いました。
─ 向井 : 具体的にはどんな問題でしょうか。
─ 池浦 : 「今の働き方をそのまま次世代に渡していいのか」と思いました。
─ 向井 : 改善策のアイデアがあれば、教えてください。
─ 池浦 : 私の部下は経験をこれから積む20代が多いので、つい「自分でやったほうが早い」と考え、抱え込んでしまいがちです。しかし彼らや会社の未来を考えたら、任せる勇気や見守る勇気が必要です。
─ 向井 : 任せて見守ることは重要ですね。失敗しても、その経験は必ず成長につながります。最初は手間がかかりますが、管理職の皆さんが重い荷物を運ぶ時の台車になったような気持ちで、前に進むのを少しだけサポートすることが大切だと思います。
─ 岸 : 酒井さんは参加を打診されてどう思いましたか。
─ 酒井 : 私は目立ちたがりなので光栄に思いましたが、「自分がリーダー?」と驚きもしました。プロジェクトでは他部門の方といろいろ話せてよかったです。
─ 向井 : 私も若い頃、各支店のメンバーと泊まり込みで意見を交換する機会がよくあったのですが、とても楽しかった記憶があります。
長期ビジョン実現において、大きな壁と感じることはありますか。
─ 酒井 : 第1部で「変わること」が話題になりましたが、実際には変化することに抵抗感を持ち、挑戦しない人もいるのではないかと思います。
─ 向井 : 変化への対応力は、特に大切ですね。どんな打開策があると思いますか。
─ 酒井 : 一人ひとりのモチベーションを高める仕組みづくりだと思います。当社の人事評価制度が変わりましたが、新しい評価内容が「変えてみよう、成長しよう」という気持ちにうまくつながればと思います。
─ 向井 : いい考えですね。当社は変化に対応する能力を、会社全体で身につける必要があります。未来を担う皆さんにはぜひ、変化への対応力を養っていただきたいです。それは、みんなで話し合うことから生まれてくるはず。幅広い意見を取り入れてください。
分科会 2勇気をもって挑戦し、ベクトルを一致させる
[分科会2]
東川 佳広
─ 岸 : 東川さんはDX推進部長ですね。ICTの面で長期ビジョンと深く関わる立場でしょうか。
─ 東川 : そうですね。参加を打診されて「やっと自分の声が届く!」と思いました。DX推進部のリーダーとして現場の声を伝えることに、責任も感じました。
─ 村崎 : 長期ビジョン実現に向けて、障害になると感じることはありますか。
─ 東川 : レガシールールの改変に二の足を踏んでしまう人が多いことです。協議ばかりで、なかなか前に進まない。失敗を恐れているから、そうなってしまうのだと思います。勇気をもって挑戦することが必要です。
─ 村崎 : 「勇気をもって挑戦」はとてもいい表現ですね。同感です。ここに集まったメンバーには、ぜひ挑戦し続けてほしいと思います。ビジョンに向かって前進するために、他には何が必要だと思いますか。
─ 東川 : 時代は猛スピードで変化しているので、タイミングを逃せばすぐ過去のものになってしまいます。このため、スピード感と実行力が不可欠です。
─ 村崎 : スピードは大切ですね。問題をその都度拾いながら、すぐ決断し、実行に移すことが必要だと私も思います。迷っている間は何も進みませんし、その間にタイミングを逃す可能性もありますからね。
─ 岸 : 川田さんはいかがでしょうか。プロジェクトメンバーでは唯一の30代ですね。
─ 川田 : 当社は30代の社員がとても少ないので、「自分だけ若い」という状況には慣れています。しかし正直なところ、会社の10年後について話し合うのであれば、30代の社員がもう少し多く加わるべきだとも思いました。
─ 村崎 : 次代を担う30代社員から見て、今の当社のどんな部分に問題を感じますか。
─ 川田 : 職場の雰囲気があまりよくないと思っています。先ほどの「変わる」という話につながりますが、変化を重視する改革派と、現状維持を望む保守派、どちらが多いかというと...
─ 村崎 : 保守派が大多数かもしれませんね。
─ 川田 : そうだと思います。保守派の比率が減らないと、長期ビジョンを策定しても、10年後は何も変わらなかった...となりかねません。
また、長期ビジョン実現のためには周囲に目的を持たせることが必要です。それが私たちプロジェクトメンバーの今後の役割だと感じています。管理職として、部下によく「ヘソが向いていない」と言っているのですが、会社のベクトルと周囲の仕事のベクトルが一致していないと、無駄が増えるのではないでしょうか。
─ 村崎 : ベクトルを揃えるには、日頃のコミュニケーションが重要だと思います。言葉で伝えること、そして目配りをすることが、相手の能力を引き出すことになるでしょうし、当社をもっと好きになることにもつながるはずです。
分科会 3横と縦のつながりの実現、そして継続的な啓発活動
[分科会3]
杉山 義則
─ 岸 : 杉山さんはプロジェクト参加について、最初はどう思いましたか。
─ 杉山 : 毎日多忙だったので「面倒だ」と...(笑)。しかし参加メンバーを見て、物おじしない社員が選ばれたのかなと感じ、彼らと部門を超えて連携するのはいいなと思いました。
─ 永尾 : 杉山さんは、横の連携を重視しているのですね。
─ 杉山 : はい。当社には土木・建築・管理の各部門を超えた部署が必要ではないでしょうか。一方、部門の縦のつながりを大切にしたいとも思っています。部門の声をできる限り多く伝えたいですし、技術継承という大きな問題もあります。60代以上のシニアマネージャーには優れた技術を持つ人が大勢いますが、それをどう伝えるか。彼らはその技術をマニュアル化するよりも現場などで話して伝えることが得意なので、建築現場で再活躍していただきながら継承する...という方法もあると思います。
─ 永尾 : 先輩たちの技術や労働力は貴重ですが、どのように技術継承を実現するか、しっかり考える必要がありますね。彼らの健康面・体力面の問題もあります。多面的・複合的に考えて実行すべきでしょう。
─ 岸 : 磯野さんはいかがでしたか。プロジェクト発足当時は CSR推進課長という立場でしたね。
─ 磯野 : 部署柄、ステークホルダーにCSRの取り組みなどの情報を「伝える立場」でもありました。長期ビジョンを策定し発信していくことの重要性は理解できたので、積極的に取り組もうと思いました。しかし、一方で不安を感じていたのも事実です。
─ 永尾 : 不安?
─ 磯野 : 長期ビジョンをどのようにつくり、その中で自分が どのように役立てるのか、イメージできませんでした。加えて リーダーということにも不安を感じて...(笑)。
─ 永尾 : CSR推進課は4年前につくった新しい組織ですが、「当社はこんな取り組みをしています・しました」という情報の発信から、「こんな未来を思い描いています。そのためにこんな計画があります」といった、ワンランク上の情報を発信するフェーズに入ったと言えますね。
─ 磯野 : そうですね。社内アンケートで、経営理念を認知していない社員がいることがわかっているので、長期ビジョンとあわせて知っていただき、共有してもらえるよう、継続的な啓発活動をしていきたいです。最終的には、社員全員が長期ビジョンを認知し、自分の言葉で説明できるのが理想です。
─ 岸 : 今後の情報発信に期待したいですね!